精神保健指定医
日本精神神経学会認定医
指導医
行動療法士
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70歳以上の人のうつ病は、老年期うつ病と診断されることが多く、若い人のうつ病とは性質がかなり異なり重症化・慢性化しやすいため、要注意です。
老化には個人差もあるため、70歳という年齢は一応の目安となりますが、75歳以上(後期高齢者)の場合は認知症の前段階となることもありますので、特に注意が必要です。
当院では、老年期うつ病(高齢者のうつ病)専門の入院治療プログラムを実施しております。ゆったりと静養できる環境下で、自然治癒力を高めるメニューや脳と体を適度に刺激するメニューをご提供し、早期回復を目指します。
老年期うつ病は、抑うつや意欲の低下といったうつ病特有の症状がはっきりと見られないことが多く、診断が難しいのが特徴です。頭痛、めまい、不眠、食欲低下といった体の症状だけが目立つケースもあるのです。
こういった原因不明の症状が続き、体の検査でも異常がみられない時は、うつ病を専門とする医療機関の受診をお勧めします。
自覚できるひどい物忘れ、理解力・判断力の低下が目立つようになることも、老年期うつ病の特徴といえます。「認知症になってしまったのでは」と心配され、自ら病院を受診する人も結構いらっしゃいます。
また、老年期うつ病と認知症の判別は経験豊富な医師でも難しく、まだうつ病の段階なのに認知症と誤診されているケースも多くみられます。
うつ病は治癒を目指せる病気ですが、認知症には治癒はありません。認知症と誤診されてしまうと、うつ病の治療のチャンスが奪われてしまう危険があるのです。
もし家族が認知症と診断されたら、医師に診断に至った根拠を必ず聞きましょう。それであなたが納得できなければ、セカンドオピニオンを求めることをお勧めします。
あくまでも目安に過ぎませんが、本当の認知症と老年期うつ病を見分けるポイントがあります。それは、認知症の人は自分の症状に自覚がないということです。
一方で、うつ病に罹ると不安症状が強く出るため、物事をなんでも悪い方向に捉えるようになります。例えば、少しでも物忘れがあると「自分は認知症になったのではないか」と極度に不安がり、自ら進んで認知症の検査を受けに病院に来られるのです。
つまり、物忘れの自覚を強く感じられるかどうかが認知症とうつ病を見分けるポイントとなります。絶対ではありませんが参考にしてください。
老年期うつ病には、脳の老化が関連していることが多く報告されています。そのため、抗うつ薬の効果が出にくく、治療が困難になることも珍しくないのです。
うつ病が慢性化すれば、老化した脳の機能はさらに低下し、認知症が発症するという事態に陥ります。実際、うつ病に罹ると認知症の発症リスクは10倍以上に上がるとも言われます。
特に75歳以上の方で食欲が落ちている人は要注意です。脳に栄養がいかなければ、うつ病はさらに重症化しますし、認知症発症のリスクも高まるからです。
うつ病の治療を受けているが病状が長引いている、食欲がだんだん落ちて体重が1か月で4㎏以上減少した、そういった方は放置すると認知症へのリスクが高まりますので是非入院下での治療をお勧めします。老年期うつ病を長引かせないことが認知症予防の絶対条件です。
年を重ねると誰にも大切な人との別れが訪れます。長年連れ添った配偶者や親友との死別はその代表ともいえます。そうなれば自然と寂しさも増すでしょう。
また若いころのような活力や自信もなくなり、経済的な不安も手伝って、現役世代とはどうしても距離をとりがちになります。年をとれば誰しも孤独になりやすくなるのです。
孤立や孤独は人の精神にとって大きなストレスになります。人間は群れをつくって生きる習性があり、元来ソーシャルディスタンスが苦手な生き物だからです。
もしあなたにとって大切な高齢の方がうつになったら、なるべく一人にしないであげてください。なるべく人と触れ合えるような環境を用意してあげてください。このことは認知症の予防という観点からも重要なことです。
高齢になると、高血圧や糖尿病など身体の病気を抱えやすくなるため、複数の処方薬を常用されている方も多いと思います。
うつ病と診断されると、一般的に抗うつ薬が処方されるのですが、抗うつ薬と他の内科薬の内服は、相互作用により薬の効果が低下することがあります。最悪の場合、思わぬ副作用に見舞われることがありますので、うつ病の治療を受ける時は、服用中の内科薬をきちんと担当医に申告することが必要です。
また、高齢者は薬の副作用が出やすいので、睡眠薬や抗不安薬の処方は最低限にすべきです。せん妄や意識障害、認知機能の低下がみられることがあるからです。いずれにしても、最初から薬を多く処方するような医療機関には気をつけてください。
どんな病気でも高齢になると慢性化しやすく、体力や気力も若い時より落ちているため、回復にはどうしても時間がかかりやすくなります。
特にうつ病は、脳の老化が基盤にあることが多いため、若い人に較べて回復がどうしてもゆっくりとなります。
老年期うつ病の治療で大切なことは患者さん本人を焦らせないことです。ゆったりとした気持ちで治療に向き合えるよう環境を整えサポートしていくことが必要不可欠となります。
うつ病に罹ると、脳機能や身体機能は一時的に低下します。
若い人なら一時の低下はあまり問題となりません。しかし高齢者では脳や身体の復元力が落ちていますので、一時的な低下が命とりとなることもあります。つまり、うつ病そのものが回復したあとも、頭がぼんやりしたり活力が出なくなったりすることが起こりやすくなるのです。
うつ病の治療が長引けば認知症へのリスクが高まることもあります。このようなことを予防する意味でも、老年期うつ病の治療には脳と体を適度に刺激するプログラムが必要となります。
高齢者は身体的にもエネルギーが落ちています。わずかな期間でも食事が全く摂れなければその後の病状に大きな影を落とすこととなります。
そしてうつ病は脳の機能の病気であり、脳は人体の中でも一番エネルギーを消費する器官です。従って脳に栄養がいかなければ、うつ病の症状はどんどん悪化するということになります。
私は、老年期うつ病で食欲が落ちている方には100パーセント入院治療をお勧めしています。脳に栄養がいかないことは、うつ病治療を困難とする最大要因のひとつだと考えているからです。
一般に、高齢者では複数の持病を抱えている方も多いと思いますが、高齢者が罹りやすい病気には、うつ病に影響を与えるものが多くあります。慢性胃炎、糖尿病、パーキンソン病、脳梗塞後遺症、腰痛症など、数え上げればきりがないほどです。
うつ病と身体の病気は相互に影響しあうものです。例えば、胃炎になると食欲が低下しますが、そうなると脳に栄養が行き届かず、うつ病を併発するといった感じです。この場合、うつ病だけ、胃炎だけを治療してもあまり効果は期待できないでしょう。うつ病と胃の調子の両方を治療する必要があります。
老年期うつ病の治療では、併発する身体の病気もしっかり管理することが大切なのです。
当院では、老年期うつ病(高齢者のうつ病)専門の入院治療プログラムを実施しております。ゆったりと静養できる環境下で、自然治癒力を高めるメニューや脳と体を適度に刺激するメニューをご提供し、早期回復を目指します。